不機嫌な彼のカミナリ注意報2
「ていうか、なんであんなに電話が無愛想なの?」

 未だにカップを持ったままの栞が大きな瞳でまばたきし、小首をかしげながら不意に俺に問いかける。

「だから何度も言ってるだろ。仕事の話は田中に言ってくれ。うちの営業担当は俺じゃなくて第一営業部の田中だ。俺と話すことなんてないのに、お前こそどうして何回も電話してくるんだよ」

 不思議そうな顔をされても、俺はお前の取っている行動のほうがよほど謎だ。
 そんな思いから質問返ししてやると、栞は小さくフッと笑みを浮かべた。

「だって、太雅が名刺くれたんじゃない。そこに携帯の番号が書いてあったから、かけてるだけよ。」

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