不機嫌な彼のカミナリ注意報2
 もちろんそれは会社から支給されてるスマホの番号だ。俺個人のものではない。

 というか名刺は、最初に新しい担当者だと紹介されたときに、栞はその場にいるうちの社員全員と名刺交換をした。
 俺だけ交換しないなんてできるわけがないし、交換しない意味もわからない。
 儀式的なものだろう、名刺交換なんて。

 ……いや、だから。今、栞は俺の話を聞いていたのだろうか。
 話が幾分、噛み合っていない気がする。

 営業の担当は田中だと、俺はずっと伝えているのに、まるでそれを受け入れようとしない。
 名刺を手に入れたというなら、田中の名刺だって持っているだろうに。

 要するに、何度か俺に電話してきているのは作為的でわざとだということだ。


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