不機嫌な彼のカミナリ注意報2
 それに今、“太雅”と俺の下の名前を口にした。
 そんなに軽々しく、あのころみたいに呼ばないでもらいたい。

「あのね、大学の同級生に大木(おおき)くんっていたでしょ? 黒縁めがねかけてて、いつも髪の毛がボサボサの!」

「……大木? ああ、いたけど」

「彼、去年の秋に結婚したんだって。よく結婚できたよね。あんなモテないキャラで」

「失礼極まりない発言だな」

 目の前でケラケラと笑う栞を見て、俺は呆れながらコーヒーをひと口すすった。
 俺の記憶の中でも、大木は確かに良いヤツだったが見た目はパッとせず、女にモテる要素の無い男だったが……。

 ――― って、なんの話だよ。
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