不機嫌な彼のカミナリ注意報2
 ここは会社のロビーだ。なのに大声で下の名前で呼ぶとは、なんてことしてくれるんだ。
 案の定、受付の江木や夏野から、何事だとまたもや訝しげな視線が突き刺さる。

「だって、あまりにも冷たいから……」

 別に冷たくはないだろう。俺にとったらこれが普通だ。
 ……いや、普通の客にならここまで不遜な態度は取らない。
 栞と仕事以外の話はしないようにと心がけるあまり、逆に態度が不遜になりすぎただろうか。

 意識しているのは自分のほうなのかと…そんな考えが頭を過ぎると、自然とイライラとした溜め息が漏れた。
 ダメだ。さっきから調子が狂いっぱなしだ。



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