不機嫌な彼のカミナリ注意報2
 栞とのことはすべて昔の話だ。
 だけど、ここ最近ずっと気分が晴れないのは、栞と再会してしまったのが原因だろう。

 今更なにかがあるわけではない。
 それは絶対に言い切れるのだが……
 なぜか、この前アイツにあらいざらい話せなかった。

 俺の身体を心配するように、手作りのハンバーグの差し入れを持って来たアイツに。

 過去に栞と付き合っていたことを隠すつもりは毛頭ない。それは紛れもない事実なのだから。

 だが、尋ねられもしていないのに自分から告げるのは、少々勇気がいる。
 伝え方を間違えればアイツを傷つけかねない。
 それならいっそ、この仕事が終わるまでアイツに言わないほうがいいのだろうか。

 古い思い出に囚われ過ぎて、今大事にしたいと思える女を傷つけたり、失いたくはない。

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