不機嫌な彼のカミナリ注意報2
「ど、どうしたの。二人ともそんなに慌てて」

「どうしたもこうしたもない! とにかくここじゃ話しづらいから、行くよ!」

 美里がそう言ったかと思うと、ふたりが私の両脇に来て腕を取った。

「い、行くってどこに?!」

「まずここから出るの!」

 美里に右腕を組まれ、舞花には左腕を組まれ……
 私はまるで拉致でもされるように、わけもわからないままおかしな体勢で会社を出た。

 連れて来られたのは、いつもみんなで集まるときに利用している洋風居酒屋だった。
 店に入って私の腕を開放したふたりと共に、案内されたテーブル席へと腰を落ち着ける。

 メニューを見ながら飲み物を注文するふたりを、私は訝しげに見つめた。
 ふたりとは友達だから、仕事終わりにご飯に誘われることはあるけれど、こんなふうに半ば強引に引っ張ってこられることなんて、普段なら考えられない。


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