不機嫌な彼のカミナリ注意報2
 お酒が好きな美里は生ビールで、舞花はかわいらしくマンゴーサワーを頼んでいた。
 私もレモンサワーと適当に料理もオーダーして、若い女性スタッフが「失礼します」と去って行ったところで、再び私は目の前のふたりに視線を移す。

「ご飯に誘うにしては強引すぎない? 今日、私になにか予定があるかも、とか考えなかったの?」

「そっか、ごめん。予定あったの?」

「……ないけど」

「だったらいいじゃないの!」

 テーブルを挟んで、こちらに身を乗り出して申し訳なさそうにしていた美里だけれど。
 私になにも予定がなかったことがわかると、一気に後ろの椅子の背もたれへと体重をかけ、拍子抜けだと言わんがばかりに体の力を抜いた。

「だ、だって! あの連れ去られようは、有無を言わせない感じだったから!」

「あはは。そうね。舞花と一緒に拉致っちゃった」

 おどけるような笑顔でそう言われても。
 サバサバとした美里はそんなキャラではない。

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