不機嫌な彼のカミナリ注意報2
「じゃ、風見さん。 俺、仕事終わりにここまで迎えに来ますから」

「は? 一階のロビーで待ってろよ」

「逃げられないための対策です! よし。これで仲里さんにも良い返事をすることができますよ」

 ガッツポーズでもしそうな勢いで、田中さんはそのまま営業部に戻っていった。

 そうだ。……仲里さんも一緒だ。
 モヤモヤとした、なんとも言えない気持ちの悪い感情が胸の中を締め付けてくる。

 でも、ふたりきりで会うわけではない。
 あちらの部長さんも、うちの営業部長も、田中さんもいる。

「どうしてあんなことを言った?」

 小さく溜め息を吐き出した後、風見さんは呆れた声で私にそう尋ねた。

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