不機嫌な彼のカミナリ注意報2
「じゃあ、……悪いが食事はまたあらためてで」

「はい。すみません」

「お前が謝る必要はないだろ」

 バツが悪くて、うつむきがちに謝りの言葉を口にすると、風見さんは私のおでこをトンっと中指で軽くはじいた。
 さりげないその行動が、今度は風見さんらしすぎて、おでこを押えながらもフッと固まっていた表情が緩まった。

 たしかにこうなったのは私のせいではない。
 でも、風見さんが悪いわけでも田中さんが悪いわけでもない。誰も悪くないのだから仕方がないのだ。

 だけど、デートのキャンセルを私ひとりで決めてしまったのは、風見さんに対して申し訳なく思った。

「お前に……言っておかなきゃならないことがある」

「え?」

「ちょっとこっちに来い」

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