不機嫌な彼のカミナリ注意報2
9.俺にとってアイツは…
―――― 9. 俺にとってアイツは…
定時で何とか仕事を終えてオフィスの外へ出ると、待ってましたとばかりに営業部の田中に捕まった。
冗談ではなく本当に迎えに来たのかと呆れつつ、田中と共に俺は会社をあとにする。
「駅をはさんだ反対側にある料亭ですから」
歩きながらの田中のその言葉に、俺は無言で首を縦に振った。
聞かなくてもそうだと思った。
そこは俺も以前に何度か訪れたことがあり、営業部の接待で“料亭”と言えば、十中八九そこだ。
今日の夜はアイツと飯を食う約束を前々からしていたが、定時を迎える少し前に、予約していたレストランにキャンセルの電話を入れておいた。
『接待よりデートを選ぶなんて風見さんらしくありません』
――― ふざけるなよ。無理しやがって。
『風見さんはやっぱり不機嫌でぶっきらぼうで、無愛想で偉そうにしてなくちゃ』
――― 今にも泣きそうな顔しているくせに。
定時で何とか仕事を終えてオフィスの外へ出ると、待ってましたとばかりに営業部の田中に捕まった。
冗談ではなく本当に迎えに来たのかと呆れつつ、田中と共に俺は会社をあとにする。
「駅をはさんだ反対側にある料亭ですから」
歩きながらの田中のその言葉に、俺は無言で首を縦に振った。
聞かなくてもそうだと思った。
そこは俺も以前に何度か訪れたことがあり、営業部の接待で“料亭”と言えば、十中八九そこだ。
今日の夜はアイツと飯を食う約束を前々からしていたが、定時を迎える少し前に、予約していたレストランにキャンセルの電話を入れておいた。
『接待よりデートを選ぶなんて風見さんらしくありません』
――― ふざけるなよ。無理しやがって。
『風見さんはやっぱり不機嫌でぶっきらぼうで、無愛想で偉そうにしてなくちゃ』
――― 今にも泣きそうな顔しているくせに。