不機嫌な彼のカミナリ注意報2
 数時間前のそんなアイツのことを思い出すと、自然とまたため息が漏れて、同時に自分の不運さと不甲斐なさに嫌気がさした。

 俺はやはり、恋愛には向いていないんじゃないのか?
 アイツを、あんな顔にしかさせられないのだから。

 今日はホワイトデーで、俺は柄にもなく女が喜びそうなレストランを予約した。
 今夜くらいはアイツをめいっぱい笑顔にしてやりたいと考えていたのだ。

 なのに、この接待のせいで全てが台無しだ。
 なんでよりによって今日なのか。

 いや……アイツを満足させられないのは、元々は俺の恋愛スキルの低さに問題があるのかもしれない。

 思考が少しネガティブな方向へ進みそうになったところで、目当ての料亭が見えてきて、俺は雑念を振り払うように顔を引き締めた。

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