不機嫌な彼のカミナリ注意報2
 これ以上黙っているのは、隠しているようで気が引ける。
 ただ単に俺は自分が楽になりたかっただけなのかもしれないが。
 それでも、正面からきちんとアイツに、自分の口で告げなければと……そう思ったんだ。

『当時……付き合っていたんですか? 仲里さんと』

 だけど俺がその事実を言う前に、アイツは俺と栞が以前付き合っていたことを知っていた。

 “女の勘”だなどと言っていたが……
 正直、鈍感なアイツが自分で気づいたとは思えない。

 誰かに吹き込まれたのか自分でそう感じたのかは置いておくとして、アイツはいつそれに気づいたのだろう。

 いくら“過去の相手”だとはいえ、再び俺と接点があるとなると、アイツも良い気はしていなかったはずだ。
 なのに気丈に振舞っていたのか?

 俺はいつから、アイツを不安にさせていたのだろう。

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