不機嫌な彼のカミナリ注意報2
 栞がすべてを言い終わらないうちに、俺は上からかぶせるようにそう言った。
 すると栞が唖然としながらも、小さく目を見開く。

「ずいぶん……はっきりと言うのね」

 笑顔を作ろうと思っているがうまく作れないのか、栞が微妙な表情で唇を震わせた。

「一度別れても、何年も経ってから再びくっ付くカップルは世の中にたくさんいるでしょ? だから年月のことを気にしてるなら関係ないのよ。私たちだってまたきっと昔みたいに戻れると思うから ―――」

「無理だ」

 俺が先ほどと同じ拒絶の言葉を吐き出すと、栞の顔が悲しそうにクイっと歪む。
 その顔を見ると、さすがに心が痛んだ。

「お前は、俺に対して愛情があるのか?」

「……え……」

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