不機嫌な彼のカミナリ注意報2
「前にも聞いたけど、今……誰か付き合ってる人がいるの?」

 栞は少し考え込んだあと、小首をかしげて質問を投げかける。

「ああ。いる」

「だと思ったわ」

 俺がしっかりと栞を見据えて受け答えすれば、栞はすぐに言葉を返し、なにかをふっきったようなやわらかい笑みを見せた。
 それはなんの嫌味もない、あのころの……栞の笑顔と同じだ。

「だってね、前に会社のロビーで会って話したとき、なんかちょっと変わったなって思ったの」

「……?」

「不機嫌そうで無愛想な太雅は昔のままなんだけどね。なんていうか……ふとしたときの表情が昔よりやわらかくなったというか、トゲがなくなったというか」

 栞の言ってることがさっぱりわからなくて、俺は途端に返事に困った。
 そんなの、その日の俺の機嫌にもよるだろう。

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