不機嫌な彼のカミナリ注意報2
 だいたい、すぐ隣のデスクに彼氏である笹岡さんがいるのに。
 それがまるで見えていないかのように素通りして、普段ほとんど接点のない私に声をかけてくるなんて、今日の清瀬さんの行動はなにか変だ。
 いくら鈍感な私でも、さすがにそれくらいはわかる。

 そんなことを頭に思い描きながら、清瀬さんたちに手を振ってその背中を見送ると、隣の笹岡さんがわざとらしいくらいの盛大な溜め息を吐き出して、ぐったりとデスクに突っ伏してしまった。

「もう、緒川さん、ビビらせないでよ」

 ……そんなことを言われても困る。
 私にはなにがなんだかさっぱりわからないのだから。

「どうしたんですか? 清瀬さんも笹岡さんも、なんか変ですよ?」

「今ね、まどかと喧嘩中なんだよ」

「喧嘩?!」

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