不機嫌な彼のカミナリ注意報2
「最初は太雅も大人になったのかなぁ……なんて思ったんだけど」

 ふざけるな。お前と付き合ってたころも俺は大人だった……と言いたいが。
 大学生だったのだから、世間的に言うとまだまだガキだった。

「でも、今日もそれを感じた。だから今付き合ってる彼女の影響なのかなぁって、そう思ったの」

 アイツの影響? 俺がアイツに影響されてる?

 ふとアイツの屈託のない笑顔が頭をよぎった。
 そんなバカな……と思うと、そこで思わずクスリと笑いが込み上げる。
 だけどあらためて考えてみれば、それは間違いじゃないような気がしてきた。

「ねぇ、彼女、どんな人なの? かわいい人?」

 再び栞の口から飛び出した質問で、ここにいないアイツが俺の頭も心も占領し始める。

……俺は完全に頭が色ボケしたな。


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