不機嫌な彼のカミナリ注意報2
「アイツを手放す気なんて毛頭ないけど……万が一手放したら一生ずっと後悔しそうだ」

「うん。そんな天使みたいな子は珍しいものね。太雅をこんなに優しく変えられる子も、なかなかいない」

 おどけるように笑って、栞はガクっと肩の力をわざとらしく抜く。

「完敗ね。私じゃ、太雅にこんな顔はさせられないわ」

 意味深な言葉を言われると、今自分はいったいどんな顔をしているのかと、あわてて片手で口元を覆った。

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