不機嫌な彼のカミナリ注意報2
「私もそろそろ帰ります。別に急ぎの仕事もないんで」
気遣って声をかけてくれた染谷さんににこりと笑みを返し、私は目の前に広がっている書類を片付けながらパソコンの電源を落とした。
「あ、そうだ、緒川さん」
「はい……」
「今から俺と飯行かない? もちろんホワイトデーだし、俺が奢るよ」
隣の笹岡さんのデスクの椅子に腰をおろした染谷さんが、明るい口調でサラリとそんな提案をしてきた。
口調は軽いけれど、なにか有無を言わせない空気をまとっていて、いつもより少し強引な感じがする。
……気のせいかもしれないけれど。
「バレンタインのお返しなら今朝貰いましたよ。ありがとうございました」
先月のバレンタインでは、一応同じチームの男性社員にチョコを渡しておいた。
と言っても、絶対に勘違いが起こらないわかりやすい“義理チョコ”だ。
そのお返しとして、染谷さんからもお菓子が入っていそうな小さな箱を今朝手渡された。
なのにその上ご飯をご馳走になるなんて、そんな理由は見当たらないし、義理チョコのお返しにしてはディナーはあまりにも仰々しすぎる。
気遣って声をかけてくれた染谷さんににこりと笑みを返し、私は目の前に広がっている書類を片付けながらパソコンの電源を落とした。
「あ、そうだ、緒川さん」
「はい……」
「今から俺と飯行かない? もちろんホワイトデーだし、俺が奢るよ」
隣の笹岡さんのデスクの椅子に腰をおろした染谷さんが、明るい口調でサラリとそんな提案をしてきた。
口調は軽いけれど、なにか有無を言わせない空気をまとっていて、いつもより少し強引な感じがする。
……気のせいかもしれないけれど。
「バレンタインのお返しなら今朝貰いましたよ。ありがとうございました」
先月のバレンタインでは、一応同じチームの男性社員にチョコを渡しておいた。
と言っても、絶対に勘違いが起こらないわかりやすい“義理チョコ”だ。
そのお返しとして、染谷さんからもお菓子が入っていそうな小さな箱を今朝手渡された。
なのにその上ご飯をご馳走になるなんて、そんな理由は見当たらないし、義理チョコのお返しにしてはディナーはあまりにも仰々しすぎる。