不機嫌な彼のカミナリ注意報2
 そんなことを心の中で思っていると、指輪を嵌められた左手を引き寄せられて、ふわりと風見さんの唇が優しく落ちてくる。

「ったく、締まらないプロポーズだな」

 風見さんは不機嫌にそう言うけれど。
 私は胸がギューっとなるほど感動していて、うれしくて、幸せだった。
 その証拠に、ポロリと涙が零れ落ちた。

「私、今日のことは、絶対に忘れません」

「そりゃ、一生忘れられない日だろ。いろんな意味でな!」

 ぶっきらぼうにそう言われれば、えへへと笑うしかない。

 もう本当に泣いたり笑ったり忙しい。

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