不機嫌な彼のカミナリ注意報2
 緒川はどうも……俺の調子を狂わせる。
 俺にとって、そんな女はコイツだけだ。

「私、お茶でも淹れてきます」

 渡された書面に視線を落とし、すぐに返事をしなかった俺を見て、緒川は俺が思案していると勘違いしたらしく、そう言って消えた。
 単に違うことが頭を過ぎっただけなのに。緒川は気を遣いすぎだ。

「お待たせしました。塚原さんも、よかったらどうぞ」

 俺と塚原のふたり分のお茶を手にして戻ってくるあたりが、何とも緒川らしい。

 上司にゴマをすろうだとか、そういうあざとさは一切なく、素で気を遣っているのがわかる。
 そんな純粋な気持ちに触れると、俺はホッと心が和らぐのだ。

「緒川さん、ありがとう」

「いえいえ」

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