不機嫌な彼のカミナリ注意報2
「緒川さんは私の彼と仲が良いみたいですから」

「じゃあ、お前の言う笹岡の浮気相手って……」

「緒川さん、なんじゃないですか?」

「なにを根拠に言ってるんだ」

「私の、女の勘です」

 ふつふつと、俺の中でイライラが湧き上がってくる。
 背中から回された清瀬の細い腕を力ずくで引き剥がして、くるりと身体の向きを反転させた。

「アイツらが仲が良いのは同じチームだからで、それは今に始まったことじゃないだろう」

「じゃあ、前々からデキてたのかもしれませんね」

 そう言って自虐的にクスリと鼻で笑った清瀬の顔を見て、愕然とした。
 先ほどまでの、酔って足取りがおぼつかない清瀬がどこにもいなかったからだ。

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