龍泉山の雪山猫
「りゅ、龍神様?」
わたしの目の前にいるのが、わたしたちがずっと昔から祭ってきた龍神様?確かに、話し方が昔の人みたいだけど...。
「この辺の人間にはそう呼ばれているようだな。俺は別に神というわけではない。龍だ。龍族は人間よりも遥かに優れている...。まあ、それを考えると我らは神に見えるのかもしれんなあ。」
「でも、見た目人間でしょ?」
わたしの問いに、彼は少し悲しそうな顔をした。
「訳あって、今は龍の姿には戻れない。昨日は争いから逃れて、傷つき死にかけていた俺を救ってくれて、心から感謝する。」
急に真剣になってアオっていう青い瞳の人が言う。
「お前が毒を抜いてくれたおかげで、術をまた遣えるようになった。術さえ遣えれば、自分の体を全回復させるなんて簡単なことだ。」
「自分で、自分の傷を触ったの?」
わたしの問いに、アオはふふっと吹き出した。
「触れずとも傷など治せる。」
彼はそう言ってわたしの足に手をかざす。あちこちにあったかすり傷やあざが一気になくなった。
「で、でもさっきは手がどうとかって...!」
そう言いながらわたしはだまされたことに気づいた。
アオが意地悪そうに笑う。
「そんな足や首元を見せつけられたら触れたくもなるだろう。」
アオの言葉にわたしは慌てて着物を直し、足を隠す。
そんなわたしを見てアオは鼻で笑うと、いきなりわたしに抱きついてきた。
「ちょっ...!」
叫び声がアオの手で塞がれる。もがこうとしても動けない。体中が熱くなる。
「おとなしくしてろ。お前の体にある傷を全部治してやってるんだ。」
アオの低い声が耳元でささやいた。でもわたしはどうにかその腕から逃れようともがいた。
そうやってしばらく時が流れていく。不思議な気分。嫌なことされてるのに、なんだかアオの腕の中、安心する。わたしが肩の力を落とすと、アオもわたしの口から手を離した。
「傷、全部治ったぞ。」
「あ、ありがとう。」
「お前に礼を言われるほどのことでもない。それに、抱きつかなくてもできたんだがな。まあ、それを礼代わりに頂いておくぞ。」
「!!!!」
まただまされた!顔を真っ赤にするわたしを見て、アオは大声を上げて笑った。
せっかくきれいな顔をしてるのに、この性格!やっぱり恩知らずだ!龍だなんて信じられないけど、とりあえずわたしを食べたり傷つけたりするような物の怪じゃないみたい。
「恩知らず...。」
ボソリと言うわたしに、アオは勝ち誇ったような顔で見下ろした。
子供みたいな表情は新しいおもちゃを見つけたようにきらきらと輝いていた。
意地悪だけど、どこか憎めない...。まだ胸がドキドキする。どうしよう、わたし、アオの瞳に取り憑かれたみたい。
人間は食べないって言ってたくせに。これはこれでひどい仕打ちだよ。
わたしの目の前にいるのが、わたしたちがずっと昔から祭ってきた龍神様?確かに、話し方が昔の人みたいだけど...。
「この辺の人間にはそう呼ばれているようだな。俺は別に神というわけではない。龍だ。龍族は人間よりも遥かに優れている...。まあ、それを考えると我らは神に見えるのかもしれんなあ。」
「でも、見た目人間でしょ?」
わたしの問いに、彼は少し悲しそうな顔をした。
「訳あって、今は龍の姿には戻れない。昨日は争いから逃れて、傷つき死にかけていた俺を救ってくれて、心から感謝する。」
急に真剣になってアオっていう青い瞳の人が言う。
「お前が毒を抜いてくれたおかげで、術をまた遣えるようになった。術さえ遣えれば、自分の体を全回復させるなんて簡単なことだ。」
「自分で、自分の傷を触ったの?」
わたしの問いに、アオはふふっと吹き出した。
「触れずとも傷など治せる。」
彼はそう言ってわたしの足に手をかざす。あちこちにあったかすり傷やあざが一気になくなった。
「で、でもさっきは手がどうとかって...!」
そう言いながらわたしはだまされたことに気づいた。
アオが意地悪そうに笑う。
「そんな足や首元を見せつけられたら触れたくもなるだろう。」
アオの言葉にわたしは慌てて着物を直し、足を隠す。
そんなわたしを見てアオは鼻で笑うと、いきなりわたしに抱きついてきた。
「ちょっ...!」
叫び声がアオの手で塞がれる。もがこうとしても動けない。体中が熱くなる。
「おとなしくしてろ。お前の体にある傷を全部治してやってるんだ。」
アオの低い声が耳元でささやいた。でもわたしはどうにかその腕から逃れようともがいた。
そうやってしばらく時が流れていく。不思議な気分。嫌なことされてるのに、なんだかアオの腕の中、安心する。わたしが肩の力を落とすと、アオもわたしの口から手を離した。
「傷、全部治ったぞ。」
「あ、ありがとう。」
「お前に礼を言われるほどのことでもない。それに、抱きつかなくてもできたんだがな。まあ、それを礼代わりに頂いておくぞ。」
「!!!!」
まただまされた!顔を真っ赤にするわたしを見て、アオは大声を上げて笑った。
せっかくきれいな顔をしてるのに、この性格!やっぱり恩知らずだ!龍だなんて信じられないけど、とりあえずわたしを食べたり傷つけたりするような物の怪じゃないみたい。
「恩知らず...。」
ボソリと言うわたしに、アオは勝ち誇ったような顔で見下ろした。
子供みたいな表情は新しいおもちゃを見つけたようにきらきらと輝いていた。
意地悪だけど、どこか憎めない...。まだ胸がドキドキする。どうしよう、わたし、アオの瞳に取り憑かれたみたい。
人間は食べないって言ってたくせに。これはこれでひどい仕打ちだよ。