龍泉山の雪山猫
恐る恐る振り返ると、そこには戸によりかかり、腕を組んで立っているアオがいた。ゆったりと着た銀色の着物がろうそくの光に照らされて輝いている。夏、わたしの家にお見舞いに来てくれた以来、ずっと会えなかった。神社に探しに来てもアオはいなかった...。ずっと会いたかったアオが、突然目の前にいる。
魚を頬張ったまま唖然とするわたしをアオはじっと見つめた。真っ青な瞳は、以前と同じように澄み切っていた。でも、彼の表情は少し疲れているみたいだった。
「アオ...?どうして、ここにいるの?」
やっと魚を飲み込んでいうと、アオは不機嫌そうな顔をする。
「どうして、ではないだろう。ここは俺の家だ。お前こそ、なぜここにいる?」
「そう言われてみれば...。お邪魔してます。」
わたしは箸を置き、姿勢を直してお辞儀した。
「今年は帰郷祭りで...。」
「知っている。」
わたしが言い終える前にアオが口を挟んだ。
「ここの所村人が騒がしいから何かと思えば...。面白い言い伝えのある村だな。龍神が天に帰る、か...。」
アオはわたしから目をそらして言う。横顔が、さみしそう...。
でも、知ってたならなんでここにいるとか聞かないでよ!
そういえば、アオはどれぐらいここにいるんだろう。たまに龍たちがいるところに帰るのかな?そもそも龍って、アオの他にいるのかな?
わたしは、アオのこと何も知らない。
「おかげで数日家を空けなければならなかった。掃除だのなんだの...祭りは面倒なことが多い。まあ、お前の下手な踊りが観れたから、我慢した甲斐があったな。笑いをこらえるのに苦労した。木の上に登って村人から隠れていたんだが、落ちそうになったぞ。」
「下手とは失礼ね!すごく練習したんだから。」
「あそこまで笛の音に合わせられていない踊りは見たことがない。」
「そ、それは着物が重くて...。」
わたしの言い訳をよそに、アオは何かを思い出したように笑いだした。
「なによ、そんなに笑わなくたって...。」
「ハハハ!あれほど面白いものを見るのは久しぶりだ!」
「ちょっと、笑いすぎ!」
わたしが怒ると、彼はそれを見て余計に笑う。
「お前、踊りの最中、ものすごい強い顔になってたぞ。眉がなあ、こう...。」
アオはそう言って、自分の額に指を当てて眉毛をそらせる。
「そんな変な顔絶対してません。」
「目もぎらぎらしていてなあ、歯を食いしばっていたし...獲物を狙う熊のような顔だったぞ!」
アオの笑い声が神殿の中に響く。
久しぶりに会ったけど、やっぱりアオは意地悪。
そして失礼!
なんでわたし、こんな人(龍)にあんなに会いたかったんだろ。会ったってこんな風にばかにされるんだから。
魚を頬張ったまま唖然とするわたしをアオはじっと見つめた。真っ青な瞳は、以前と同じように澄み切っていた。でも、彼の表情は少し疲れているみたいだった。
「アオ...?どうして、ここにいるの?」
やっと魚を飲み込んでいうと、アオは不機嫌そうな顔をする。
「どうして、ではないだろう。ここは俺の家だ。お前こそ、なぜここにいる?」
「そう言われてみれば...。お邪魔してます。」
わたしは箸を置き、姿勢を直してお辞儀した。
「今年は帰郷祭りで...。」
「知っている。」
わたしが言い終える前にアオが口を挟んだ。
「ここの所村人が騒がしいから何かと思えば...。面白い言い伝えのある村だな。龍神が天に帰る、か...。」
アオはわたしから目をそらして言う。横顔が、さみしそう...。
でも、知ってたならなんでここにいるとか聞かないでよ!
そういえば、アオはどれぐらいここにいるんだろう。たまに龍たちがいるところに帰るのかな?そもそも龍って、アオの他にいるのかな?
わたしは、アオのこと何も知らない。
「おかげで数日家を空けなければならなかった。掃除だのなんだの...祭りは面倒なことが多い。まあ、お前の下手な踊りが観れたから、我慢した甲斐があったな。笑いをこらえるのに苦労した。木の上に登って村人から隠れていたんだが、落ちそうになったぞ。」
「下手とは失礼ね!すごく練習したんだから。」
「あそこまで笛の音に合わせられていない踊りは見たことがない。」
「そ、それは着物が重くて...。」
わたしの言い訳をよそに、アオは何かを思い出したように笑いだした。
「なによ、そんなに笑わなくたって...。」
「ハハハ!あれほど面白いものを見るのは久しぶりだ!」
「ちょっと、笑いすぎ!」
わたしが怒ると、彼はそれを見て余計に笑う。
「お前、踊りの最中、ものすごい強い顔になってたぞ。眉がなあ、こう...。」
アオはそう言って、自分の額に指を当てて眉毛をそらせる。
「そんな変な顔絶対してません。」
「目もぎらぎらしていてなあ、歯を食いしばっていたし...獲物を狙う熊のような顔だったぞ!」
アオの笑い声が神殿の中に響く。
久しぶりに会ったけど、やっぱりアオは意地悪。
そして失礼!
なんでわたし、こんな人(龍)にあんなに会いたかったんだろ。会ったってこんな風にばかにされるんだから。