龍泉山の雪山猫
アオは、その後戻ってこなかった。
お昼前に村の人たちが食事を持ってきてくれたきり、わたしは一人で神殿の床に座ってアオの帰りを待った。
でも、夜になってもアオは帰ってこなかった。

今まで、これほどに一日が長く感じられたことなんてなかった。

アオ、どこに行ったんだろう。怪我、ひどくなってないかな。
心配で、心配で、胸が痛くなる。
でもこんな心配してることを伝えることができたとしても、アオはきっと冷たくわたしを突き放す。
結局アオは龍で、わたしは人間だから。
アオが龍の姿になったら、あの緋い龍のように強くなるのかな?アオを見て、わたしは恐いって思うのかな。
その姿を見る日は来るのかな?

アオは、どうしてあんなに龍の姿を見せること、気にしたんだろう。



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