龍泉山の雪山猫
早く帰って休みたい。お母さん元気にしてるかな。山道はきついから、お祭りに来れなくて寂しがってないかな...。
「ありがとう、お兄ちゃん。」
女の子の声が聞こえたので顔をあげると、井戸のそばには黄色い花を持った小さな女の子が立っていて、その隣には腕を組んで立っているアオがいた。
「行け。」
アオの言葉に女の子はうなずくと、わたしの方へ走ってきた。女の子は目を輝かせて、持っていた花をわたしに差し出した。
「これ、おねえちゃんにあげる。」
「わたしに?」
「うん。あそこのお兄ちゃんにもらったんだけどね、おねえちゃん、村のみんなのためにお祭りがんばったから。だからあげる。」
「ありがとう。」
花を受け取ると、女の子はそのまま走って行ってしまった。
アオの方を見ると、彼はさっきの姿勢のまま無表情でわたしを見ていた。
「お花もらっちゃった。」
なんて話しかけたらいいのかわからなくて少し笑ってみせる。
アオは何も言わない。
本当だったら、帰ってこないで心配したんだよって怒ってやりたいけど...。アオはまたお節介なわたしをきっと嫌がるから...。
「お祭り、もうすぐ終わりだよ。これでアオも静かに暮らせるね。わたしの荷物はすぐに全部片付けて帰るから...。」
わたしはそれだけ言って、来た道を戻ろうとした。
「待て。」
アオの冷たい声がわたしを引き止める。
振り返ると、アオがゆっくりわたしの方へ歩いてきた。
「ありがとう、お兄ちゃん。」
女の子の声が聞こえたので顔をあげると、井戸のそばには黄色い花を持った小さな女の子が立っていて、その隣には腕を組んで立っているアオがいた。
「行け。」
アオの言葉に女の子はうなずくと、わたしの方へ走ってきた。女の子は目を輝かせて、持っていた花をわたしに差し出した。
「これ、おねえちゃんにあげる。」
「わたしに?」
「うん。あそこのお兄ちゃんにもらったんだけどね、おねえちゃん、村のみんなのためにお祭りがんばったから。だからあげる。」
「ありがとう。」
花を受け取ると、女の子はそのまま走って行ってしまった。
アオの方を見ると、彼はさっきの姿勢のまま無表情でわたしを見ていた。
「お花もらっちゃった。」
なんて話しかけたらいいのかわからなくて少し笑ってみせる。
アオは何も言わない。
本当だったら、帰ってこないで心配したんだよって怒ってやりたいけど...。アオはまたお節介なわたしをきっと嫌がるから...。
「お祭り、もうすぐ終わりだよ。これでアオも静かに暮らせるね。わたしの荷物はすぐに全部片付けて帰るから...。」
わたしはそれだけ言って、来た道を戻ろうとした。
「待て。」
アオの冷たい声がわたしを引き止める。
振り返ると、アオがゆっくりわたしの方へ歩いてきた。