clover

君と僕。

街路樹の緑が、日光を浴びて輝いている。

高校にもだいぶ慣れてきたし、友達もできてきた。そう思いながら学校へと歩いているときだった。

「さっくー」

と、後ろから僕の名前からは想像もできない呼ばれ方をした。

...この呼び方をするのはアイツしかいないと確信しながらも一応後ろを振り返る。

「よぉ、優」

僕の予想は大当たり。

腐れ縁にして、幼なじみで、家が隣同士という少女漫画や携帯小説なら、きっとここで女の子が登場してその子と、最終的にくっつくというパターンが多い感じなのだが、そんな甘い幻想が本物になるわけもなく、そこにいるのはメガネをかけて黙っていれば普通に彼女はいそうな感じを顔をしている男だ。

が、しかし....実際は

「なんだよ、そんな俺の顔じーっと見て。........まさか、お前そんな性癖がっ」

などと、朝っぱらから口走る頭のおかしい野郎なのだ。「どなたですか？不審者なのですか？警察に連絡しますよ？」

と、煽ってみた。

「おまっ、ちょ、あんな事やこーんなことをした関係なのに....。君の幼馴染の古池優くんだよﾊｧﾄ」

「キモイ、俺の目の前から消えろ」

と、一蹴し僕はまた歩き始めた。

そこからは、流石の優も諦めたのか、後ろを黙って歩いていた。

学校に着くと、何故か妙に騒がしかった。

生徒達が何かを取り囲むかのように群がっている。

そして、慌てふためいている先生たち

まるで、バーゲンで戦争を繰り広げる主婦のように。

僕と優も気になって近づくが、やはりなかなかなかに行けず見れない。

3分くらい経ってようやく前に行くことができた。

群れの中心部には華奢な体、すぐにでも折れそうなくらいの腕、すらっと伸びた脚、そして、ロシア人を思わせる様なスノーホワイトの肌。

そう、そこにはここの高校の制服を着た女子生徒が一人倒れていたのだった。

「おい！しっかりしろ！」

僕はすぐに駆け寄った。見知らぬ子なのに何故かはわからないが、声をかけてしまった。

その時に、僕の歯車が回り始めていたのかもしれない。

―その頃の僕は気がついていなかった。