clover
重なる偶然
翌日、あの子は普通に登校していたらしい。

なんでも軽い貧血だったそうだ。

その後、僕はあのことあってはいない。

すれ違うことすらなかった。

しかし、昨日の一件からみんなにもてはやされている。

「あの子とはどーなのよ。一目惚れだろ?」

不快だ。

真後ろの席から聞こえるし、しゃべり方がうざい。

なので、シャーペンで...(自主規制

「うぁぁぁぁあ、いってぇぇえ!!プスっていったよ!?」

と叫び散らしているが、あえて無視る。

「少しくらい可愛い子できたからって...いてててててててて....ごめん!こめんて!」

もう一度シャーペンで(自主規制)してやったよ

分かればいいんだよ。

僕はそう思いながら、授業終わりのチャイムを聞き流していた。

―そして、授業も全て終わり、帰宅部の僕は帰ろうとしたとき

「すいません。」

と、か細い声が聞こえた。

「え?あ、はい?」

とっさに呼ばれたので少し声が裏返ってしまった。

「あの、1年B組の白河 紗綺 君ですよね?」

僕の名前を知ってることに驚きつつも

「え?あ、はい。」

答えるだけ答える

「昨日はどうもありがとうございました
そして、迷惑かけてすいません。」

いきなりの謝罪。謎の謝罪。戸惑う僕。

「....んと、ま、まず、とりあえず顔上げて。話はそこからしよ。」

安定、きっとこれで安定だ。

「あ、はい。えっと、あの、私昨日倒れてたんですよね。それで、あなたが助けてくれたって....」

あ、あの子か。

「そ、それで、お礼しなきゃって思って友達からきいて....で、え、えっと....」

「あ、別に気にしなくていいよ、僕がしたくしてしたわけだし、それにさ、人たれてたら心配するじゃん普通ならさw」

「お優しいんですね。ふふっ」

彼女は、ふわっと笑った。

「ぼくは、別に優しくはないよ。」

そういって、少しだけ微笑んだ。

「あの、―――――。」

彼女の一言で、時間が止まったような気がした。
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