あの日の空の色
#1 糸
ベランダに揺れる洗濯物を見てた。

洗濯物の向こうには、夏を待ちきれずに、青く青い空が広がってる…

由香は、あの日々を思い出していた…

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―――アタシは、高校からの親友、和美に連れられ、和美がこの前の飲み会で知り合って、仲良くなったという男の家に向かっていた。

“なんでアタシが一緒に行かなきゃなんないのよ…!”


バイト明けで疲れていたアタシには、正直迷惑な話だった。


『一人で行きゃいいじゃん。』

不機嫌そうなアタシに和美が答える。

『だって…。私いっつも男見る目なくて失敗ばっかするじゃん。由香に見極めてもらいたいんだもん。いいじゃん!お願い!』

『…ハハッ、確かにね。』


和美は、高校生の頃から二十歳を過ぎる頃まで、一人の男にしがみついてた。
…妻子持ちの、20近くも年上の男だった。


アタシにはまったく理解の出来ない恋愛。

先の見えない、報われない愛にハマり、他の出会いや恋愛を知る事も求める事も無く、ツライと言っては泣き、ただ会えた日にはそれだけで幸せそうだった。


一度、聞かれた事があった。

『由香は不倫なんてしてる私を、軽蔑する?』
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