あの日の空の色
『あ~、オレの事は放っといて。』
そう言って時田はそれからも、ほぼ寝ころんだ状態でその場に参加し続けた。
『うん、そのつもり~。』
…そう答えたものの、だんだんそうもいかなくなってきた。
ヨッチャンと時田の会話は、まるで漫才の様で、最近テレビで目立ち始めた下手な若手芸人なんかより、ずっとずっと面白かった。
特にボケ役(?)の時田の表情、言葉の一つ一つ、間の取り方、そのどれもこれもがアタシのど真ん中にビシバシ入り込んで、アタシの興味をあっという間に独占してしまった。
アタシは誠クンと時田の間に挟まれて飲んでいたはずなのに、誠クンと交わした会話はまるで覚えていなかった。
誠クンの存在自体が薄かった。…というより、時田のキャラが濃すぎた。
明らかに誠クンより時田に興味を注いでいるアタシに、
『由香ちゃ~ん、もっと誠としゃべってやってよ~。』
お節介な見合い仲介人の様なヨッチャン。
『しゃべってるよねぇ、誠クン。…てゆーかだってこの人面白いんだもん。』
そう言って時田を指差したアタシに、ヨッチャンは目を丸くさせた。