あの日の空の色
――時田がヨッチャンのアパートを出てすぐに、アタシは登録したばかりの時田のアドレスに、自分のTEL番とアドレスを送った。


アタシと時田はこうして繋がった。



――時田とは、それから毎日の様に電話で話した。

時田はペンキ屋を独立して、従業員を当時3人抱えてる親方だった。時田は現場での仕事が主だったし、アタシも暇な中古車屋の事務で自由が効いたおかげで、電話は割といつでも繋がった。

アタシからかける事がほとんどだったけど、不意をついたように5回に1回くらいは時田の方から連絡をよこす事もあった。


内容はどうでもいいような事ばかりだった。
『暇なんだよ。ちょっと電話付き合えよ。』とか、
『今昼休みで、定食屋で飯食ったらまずかった。』
とか、
『現場の移動中で道が混んでてイラつく』
とか…。


アタシは、電話越しの時田の声が大好きだった。

低くしゃがれて、迫力のあるあの声は、いつもアタシをドキドキさせた。
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