あの日の空の色

―――男のアパートに着いたのは、午前2時半を回っていた。


アタシは、昼間の中古車屋の事務とは別に、週末の金曜と土曜の夜だけ、隣街の小さなスナックでバイトをしていた。


店が終わり、帰ろうかと駐車場に向かう途中で和美に捕まり、こんな所に連れて来られたんだ。


和美は、連絡してあったのか、勝手にドアを開けて上がり込んだ。
『おじゃまします。』少しばかり遠慮がちに、アタシも後に続いた。


部屋に入って男と顔を合わせた瞬間――。


『アレ?』

…アタシは男を知っていた。

…男もアタシを知っていた。


『え…?なに?知り合い…?』
和美だけが、状況を把握出来ずにキョトンとしてた。


別に、知り合いな訳じゃなかった。

ただ、見た事のある男だった。
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