白樺は空を見上げた。 そして、立葵は泣いていた。
つまり,この地の村を合併し,囲目市を作
りここまで、成長させたのは荒屋家の力無く
して有り得ない。
 現に、今市長をやっているのは荒屋勇。
りっぱな荒屋家の人間である。

「しかし、不思議な話だな。陵の前に姉ちゃ
んがいるのに、そっちに"陵"って名前は付け
なかったんだな。」

 陵は四人姉妹の次女になる。そして、長女
の名前は遙であり、支配的なイメージは無い
だろうに…

「その辺はよく知らないけど、確か、あんた
の所でお伺いを立てて、そういう託宣があっ
たとかじゃなかったかな?姉貴も納得してる
し。
 まあ、あの人はそういうのに疎いけど。」

 ハハハッっと陵。
 なるほど、ご神託のおかげね。
さすが、御三家が一つ。樋下家。
人ン家の事にまで首を突っ込む突っ込む。
 まあ、御三家の中で神を祀り上げ、お伺い
を立てるという役割があるからなんだろうけ
ど。
 因みに、御三家と言っても,今でもライバ
ル関係にあるわけではない。
遠の昔に、それぞれ役割分担をし、手を取
り合って暮らしている。

「じゃあ、クリーニングに出してから返すか
ら。」
「ええ~?びろびろになっちゃうじゃン!」
「遠慮するな~ってははは!」
「ちょっおまっ!ふざけっ!そんなことした
ら絶交だからな~!!」

絶交って,お前は小学生か。
 じゃあな、と言って俺は教室に戻ろうとす
る。

き~んこ~んか~んこ~ん
か~んこ~んき~んこ~ん

もう予鈴がなる時間だった.
随分話し込んだな.
あいつと居ると時間を忘れちまう.

がらがら~ピシャっ

勢いよく教室に入る.
ヤバいヤバい。
ギリギリじゃないか。
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