白樺は空を見上げた。 そして、立葵は泣いていた。

童話

　　赤ずきんちゃん

　昔々ある所に、とてもとても可愛らしい女
の子がいました。
　余りにも可愛いのでみんなその子を好きに
なりました。中でもその女の子のおばあさん
は、特別に可愛がっていて、何をプレゼント
すればいいのか分からないほどでした。
　ある時おばあさんは、女の子に真赤なビ
ロードのずきんをあげる事にしました。
　そして、そのずきんは女の子にとてもよく
似合って、女の子もそのずきんを気に入って
それしかかぶろうとしませんでしたので、皆
に赤ずきんと呼ばれるようになりました。
　さて、ある日の事、お母さんが赤ずきんに
おつかいを頼みました。

「赤ずきん、ここにお菓子とワインがあるん
だけどこれをおばあさんに届けてくれる？
おばあさんは今病気で寝込んでるの。」

　赤ずきんは喜んでそのつかいを引き受けま
した。

「ちゃんとお行儀よくしなさい。それと寄り
道をしてはいけませんよ。」

　赤ずきんは、お母さんと約束をして出発し
ました。
　おばあさんは森の奥の方に住んでいました
から、森の中を通っていかなければいけませ
ん。赤ずきんは森の中に入っていきました。
　森の中で赤ずきんは狼に会いました。
　しかし、赤ずきんは狼がどんなに怖い動物
か知りません。ですから、挨拶をすることに
しました。

「こんにちは、狼さん」
「やあ、こんにちは赤ずきんちゃん。どこへ
行くんだい？」
「おばあさんの所にお見舞いに行くのよ。お
菓子とワインを持っていってあげるの。」
「おばあさんの家はどこにあるの？」
「あと、１５分くらい奥に行った所よ。大き
な３本の樫が立ってる下にあるの。胡桃の茂
みがあるからすぐわかるわ。」

　それを聞いて狼は、こんなご馳走には滅多
にありつけない。どうやって食ってやろう、
と考えました。