雨が降るから。



その後母さんは学校のことや、好きな子はいるのか?とかいろいろしつこく聞いてきた。



全部ひっくるめて俺は大丈夫だよ、とだけ答えて済ませた。


何が大丈夫なのか俺も知りたいが。



母さんが部屋から出て行った後に、さっき持ってきたイチゴ味のババロアを一口食べると冷えていたはずのものが少し常温に戻っていた。




イチゴ味のババロアは確か、優花が好きだったっけ…なんて思いながら少しだけ優花のことを考えた。







中学の頃、優花は女子の間で軽いいじめにあっていたらしい。


これは俺が高校に入ってから、友達に聞いたこと。
しかもそのいじめの理由が、『優花がいろいろな男と仲良くしてるから』というなんともくだらないことだった。


そして優花は一ヶ月くらい、学校を休んだ期間があった。


無神経な俺は本気で、「どうしたの?」と声をかけてしまった。


声をかけたことが、かけることが、優しさだと思ったからだ。



そのことを俺は、少しだけ…後悔している。

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