雨が降るから。
…*
「おはよー琉ちゃん!今日は早く起きたんだね!」
「おはよ…」
ピンポーンというインターホンの音が、今日よりも少しだけ遅い時間に鳴った。
いつもどうり変わらない優花がそこにいた。
母さんが昨日『心配』とか言うから俺もなんだろう、心配になって今日は早く目が覚めた。
「ねー、なんで今日早く起きたのー?」
「たまたまめが覚めたんだよ」
「ふーん…?へんなの」
「別に普通だろ……あっ」
家を出て歩き出した俺達の横を、勢い良く車が通り過ぎた。
車道側を歩いていた優花はそれに気づかなかったみたいだったから、思わずグイッと引き寄せた。
…って、なにこれ。
「…りゅ、琉ちゃん…?ありがとう…ごめんね?」
「いや、俺がそっち側歩かなきゃだった…ごめん」
「えっ、そ、そんな!!べつにあたしは平気だよ!琉ちゃんこそ危ないよ!!」
…ってまた、なにこれ。
普通、平気だよ、とか言わないだろ…。
男の俺のほうが心配されるって、俺どんだけ頼りないの…?
「いいから、優花はこっち…」
「りゅ、琉ちゃん…!」
だってそんなの、おかしいじゃん。
父さんが言う、女の子守れ…ってわけじゃないけど。
「優花は‥…………………女の子だから、…こっちなの…」
それにまぁ、俺も一応…たぶん男だしね。