空まで届け
「小春。なんで。」
「…空良?」
空良は無表情でただ一点を見つめる。
私が空良の妹にボールを渡すと
空は何かを決心したように表情を変え、
「花奈、向こうで遊んでおいで」と。

花奈ちゃんが走っていったあと
空良は私の横に座った。

「ごめんな。」
どうして謝るの。なにを抱えているの。
どうしてそんなに泣きそうな顔をしているの。
「俺さ、脳に病気が見つかってさ。
あと、少しだけなんだ。」
「え?」
「あと、少しだけの命なんだ。
余命1年。俺はあと1年しか生きられないんだ。」
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