空まで届け
お葬式の二日目。今日でお母さんに
触れられるのは最後だった。
そのあとは、焼かれちゃうんだって。

知らないおじさんが
「もうよろしいですか?
最後になにかあれば」と、小さな声で言う。
私はお母さんから離れなかった。
「小春。離しなさい。」
嫌だ。
「もうよろしいでしょうか。」
知らないおじさんがまた同じ言葉を繰り返す。
「よくない!!まだ駄目!お母さんと
離れたくないっ!」
だって、焼かれちゃったらもう顔も
見れないんだよ。笑顔だけじゃなくて、
“お母さん”にもう会えないんだよ?
「そろそろ…」
知らないおじさんがまた言う。
「いやだっ!!…お母さん!行かないでよ!」
「いい加減にしなさい!小春!」
お母さんに しがみついて泣き叫ぶ私に
お父さんは怒った。
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