空まで届け
私達はあの日を境にもう一度
新たなスタートをきった。
空良も抗癌剤治療が始まりフワフワだった
髪の毛は今では全てなくなってしまった。
私はそんな空良にニット帽を編んだ。
「…嫌がるかな」
そんなことを考えながら私は空良の
病室をノックした。
「おう、小春!いつもわりーな!」
最近空良が前以上に輝いて見える。
なんていうか生き生きしているっていうか。
「空良本当いつも元気だね!」
「あったりまえだろ?小春が来てくれるから!」
「そっか!よかった 今日はね、
プレゼントがあるんだ〜!」
「お?なんだなんだ???」
嬉しそうに空良が目を輝かせる。
「じゃーん!ニット帽!前、寒い〜!って
言ってたから」
嫌だったかな?やっぱりおせっかいかな?
「やったぁー!!あったかいっ!
この頭じゃやっぱ寒いんだよ!」
そういうと空良はニット帽をかぶった頭を
ポンポンして笑った。
それにつられて私も笑った。
「え?しかも手作り?!!
小春が編んだの?!」
「え、ちょ、なんでわかったの?!!」
自分で編んだなんて一言も言わなかったのに!
「だって、明らかに手作りじゃん!
外から見たらかっこいいけど、
内側の糸がボロっボロ!!」
そういうと空良はニット帽をひっくり返して
笑い転げた。
「そんな笑わなくてもいいじゃん!!」
「だって、嬉しくて」
え?
「ありがとな!小春!」
その笑顔とお礼に私の頬は赤くなる。
< 52 / 55 >

この作品をシェア

pagetop