巡逢~茜色の約束~
思考をリセットしよう。

そう思って、俺はソファに寝そべった。





真夏のグランド。

響く歓声が、更にその場を暑くした。



『いけ、千速!』

『綾瀬、打てー!』



……え?



『千速くーん!頑張ってー!』

『千速ー!』



あぁそうか。

俺、野球やってんだ。

今までのこと全部、夢だったんだ。



ギュッとバットのグリップを握った。

バッターボックスの中で、ピッチャーが投げた球を叩く。

それはレフトの頭上を越え、俺はダイヤモンドを回る──と、世界が反転した。



瞬間、現れたのは、学ラン姿の男子生徒。

どくん、と心臓が嫌な脈を打つ。



『なんでお前なんだよ……!俺の方が実力あるのに……なんでお前なんかが……!』



……やめろ。

寄るな……。



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