巡逢~茜色の約束~
「……」

「一緒におったら、考えられへんくらいドキドキしたり、かと思ったらめっちゃ落ち着いたり。その子の表情やら態度一つで、悲しくも幸せにもなれる。俺は、そういうもんやと思ってる」



悲しくも幸せにも、か……。



「……桜井がそんな真面目な話するから、鳥肌立ったじゃねぇか」

「はー!?千速が振ったんやろ、この話!」

「そんな覚えない」

「てめ……俺めっちゃ恥ずかしいやんか!」



怒る桜井を余所に、空を見上げる。

頭の中に、何故か美生と出会ったときのことが思い浮かんだ。





駅で桜井と別れ、帰路につく。

寒くなってきたなぁ、なんて思っていると、前方に、街灯に照らされている見覚えのある後ろ姿を見つけた。



「……美生?」



思わず発した言葉に、その人物は体ごと振り向く。



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