巡逢~茜色の約束~
そんな彼女を横目に、思わず言葉が口を衝いて出た。



「……美生はさ。誰かを特別好きになったこと、ある?」



俺の問いかけに、目を丸くして美生は振り返る。



「いきなり……どうしたの?」



そりゃそうだよなぁ……。

突然こんなこと聞かれたら、誰だってそうなる。



「……別に。今日学校でそういう話したから、お前はどうなのかってちょっと気になっただけ」



淡々と答える俺に、美生は柔らかく笑う。



「そんなこと話す人いるんだ?」

「成り行きだよ。アイツが勝手なこと言うから」

「ふーん?」



なんだよ、その顔……。



「誰かを特別に、かぁ……」

「……うん」



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