巡逢~茜色の約束~
「ねぇ千速くん!ご飯食べたらさ、ベランダでちゃんとお月様見ようよ!」

「いいけど……風邪引くなよ、冷えるんだから」

「大丈夫だよー」



俺の返事に、嬉しそうに笑う美生。

そんな美生を見て、自然に口元が緩む。



「ほら、出来たぞ」



出来立てのお好み焼きをテーブルに運ぶと、美生はまた表情を綻ばせる。



「千速くんの手料理だぁ」

「……そんな大層なもんじゃねぇだろ」

「千速くんが作ってくれたことが嬉しいんだもん。この前のお粥は、あんまり味わえなかったし」

「あー……、お前体調崩してたんだっけな」



俺が停学食らった日、と自虐的に付け足すと、美生は困ったように眉を下げた。



「ありがとうね、千速くん」

「……ん」

「それじゃあ、いただきます!」



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