巡逢~茜色の約束~
帰って来る筈のないヤツ等のために、毎日多めに作った。

今日こそは、明日こそは、ってさ。

我ながら無垢だったなぁ。



だけど、食べられることなく捨てられていくそれらを前にして、何も思わない程、図太くも強くもなかった。



心が荒んでいくのを感じながら、俺は野球に没頭した。

って言っても、友達とゴムボールでするような遊びだったけど。

それでもその頃には、普段の壁当てやキャッチボールのおかげで、ある程度投げられるようにはなってた。



野球中継を見ては、大きな舞台で活躍する選手に憧れた。

かっけえなって。

俺もあんな風になりたいなって。

それは、親友と呼んでも過言じゃない程の存在になったアイツも同じだった。



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