巡逢~茜色の約束~
周りの視線が一気に向けられたのがわかる。

それでも、溢れる言葉を止めることは叶わなかった。



「これから夢を追っていける桜井や、これからもずっと野球出来る相川にはわかるわけねぇ……!」



違う。

本当はこんなこと言いたいんじゃない。

言いたいんじゃないのに。



「想像出来るか?ガキの頃から追ってた夢を、人生を賭けて叶えたいと思う程の夢を……ある日突然、悪意によって奪われる痛みを。何の曇りもなく夢を見続けられるお前等に、それが理解出来るかよ⁉︎」

「え……」

「どうせ出来ねぇくせに勝手なことばっか言うんじゃねぇよ……!」



こんなの、ただの八つ当たりだ──。



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