巡逢~茜色の約束~
堪えたいのに、堪えられない。

張り詰めていた糸が、何かの拍子に切れたらしい。



「……っ」



行き場のない感情がぐるぐると巡って、自分の首を余計に締め付ける。



いっそ、このまま堕ちてしまえばいい。

もう誰の手も、声も届かないところまで──。





食卓に並んだのは、いつかと同じくらい豪勢な料理達。

椅子に座ることなく吃驚していた俺に、美生は椅子に腰掛けつつ、切なげに笑って。



「最後だから……頑張っちゃった」



あぁ……そうか、最後だもんな。

俺達が一緒に過ごす、最後の夜。



「この前作ったとき美味しいって言ってくれたポトフ、作ってみたの。ハンバーグは作り置きしてるから、また食べてね」

「……」



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