巡逢~茜色の約束~
俺もう、どうしたらいいかわかんねえよ──。





学校に着いたのは、1時間目が始まって少し経った頃。

最近はわりと真面目に授業を受けてたから、担任と顔を合わせたら何か言われると思ってたけど、その予想は有難くも外れてくれた。

……というより、腫れた目をした俺の顔をはっきり見るまでは怒る気満々のオーラを醸し出してたから、多分、寝坊しましたなんて言い訳も罷り通る程度に気を遣われたんだと思う。

それでも何も尋ねないでいてくれたことに感謝しつつ、俺は教室へと向かった。



昨日のことがあるから、正直、クラスメートと顔を合わせることに気後れしてしまう。

桜井と相川の2人には、特に。



躊躇いながらも扉を開けると、真面目に板書をしていた視線や、俯いてケータイを触っている視線が一気に俺に向けられた。



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