巡逢~茜色の約束~
ガタガタと椅子を直す音が教室に響いて、それぞれが漸く自由な時間を手に入れる。

短くて長い一週間がやっと終わって解放感に包まれたクラスメート達の様子は、俺とはまるで雲泥の差だ。



「……」



俺の周りだけ時間が止まったみたいに、鞄に手をかけたままその場に立ち尽くす。

これから何をしよう、と考えを巡らせても、他の感情が邪魔をして、中々決めることが出来ない。



映画……はこの前見たし。

ショッピングモール……も特に用なんてないし。

だからって、まだ帰るわけにはいかない。



「……そう言えば」



ふと、出会った直後のことを思い出した。

あれは確か、日曜日だった。

“これで遊ぼうよ”──Wooのリモコンを手にそう言った美生。



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