巡逢~茜色の約束~
初めて触れたゲームにハマって、絶対マスターするって豪語してたっけ。

俺が学校に行ってる間にやってたのは知ってたけど、腕前をどれだけ上げたか、結局確かめることは出来なかったな。



「……」



今度こそ鞄を手に、教室を出た。

行き先はまだ決まらないけど、クラスメートの残るあの場所に留まることに気が引けた。





昇降口に着くなり、知った後ろ姿を見つける。



……朝といい今といい、タイミング良すぎるだろ。



上靴を履き替える桜井の横を通り過ぎ、靴箱からローファーを取り出す。

音で俺の存在に気付いたらしい桜井は、一瞬気まずそうな表情を浮かべて、何も言わずにグランドへと出て行く。

グランドでは、ユニフォームを着た野球部員が整備をしていた。



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