巡逢~茜色の約束~
ごめんね、って何回も何回も謝って。



停学を言い渡された俺に優しく寄り添ってくれた美生に心を少しだけ赦し、記憶の欠片を引っ張り出して、心の中の弱い部分を見せて──ぐちゃぐちゃになって、八つ当たりした。

美生がいなくなることへの恐怖を、もしかしたらあの頃から既に抱えていたのかもしれない。



でも次の日はいつも通りだったんだよなぁ、確か。

謹慎中の人間に、“出掛けよう”なんてさらっと言える辺りがすげえところだと思う。

結局水族館に行って、夕日が沈む前で前に進む決意をしたんだ。

生きる意味を探す決意を。



大阪から転校してきた桜井と顔を合わせたのは、謹慎が明けて初めての登校のときだったな。

それから一緒に過ごすようになって、文化祭も行動を共にして、相川とも話すようになった。



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