巡逢~茜色の約束~
芹沢を始めとしたクラスメートが向けてくれた温かい想いにも気付くことが出来て、俺の学校生活は360度世界を変えた。

そんな中で自覚した好きという単純で複雑な感情に戸惑いもしたけど、認めてしまえばすぐだった。



記憶の引き出しを開けて、全てを打ち明けたのも同じタイミング。

美生が目に涙を溜めて言ってくれた“苦しまないで”って言葉が俺の心を溶かして、少しだけ素直になれたんだ。



全力疾走で美生の元へ駆けて、今度は自転車で突っ走ったこともあったな。

高台から見たあの夜景が前に見たときよりもずっと綺麗に見えたのは多分、誰よりも大切な美生が隣にいたからだろう。

同じように寂しさを抱いていたことが、不謹慎だけど嬉しくって。



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